ジャック・ウィルシャー『バルサ戦、良いプレイとは気付かなかった』

ジャック・ウィルシャー『バルサ戦、良いプレイとは気付かなかった』

さて、今日のアーセナルトピックをみなさまと共有したく存じます。

アーセナルのラジオサービス『In Lockdown』のエピソード5が配信された。

第5回のゲストは、ジャック・ウィルシャー(Jack Wilshere)

なお、このウィルシャーのインタビューは2部制となっており、次回もウィルシャー回とのことだ。

 

ジャック・ウィルシャーの『In Lockdown』 パート1

 

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🔴 #Jack #Wilshere

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セスク・ファブレガスからのアドバイス

当時のGunnersには、キーラン・ギブス(Kieran Gibbs)がいて、その次にはアーロン(Aaron Ramsey)も加入した。

そのときのプレシーズンがきっかけで、みんな打ち解けあっていたよ。

若い選手がファーストチームに入ってくると、どうしても若手同士で固まってしまうからね。

 

僕はそのとき、かなり大人しくしていたと思うよ。

なんとなく自分がそこにいるのは、相応しいとは思っていなかったから。

ファーストチームに入るには、まだ未熟なように感じていたし、怪我も多かった。

出典:arsenal.com/

セスク(Cesc Fàbregas)は、相変わらず上手かったね。

そのセスクから、アドバイスを貰ったりもしたよ。

『この間の夜、リザーブでプレイするの君を見ていたけど、よくやってるね。』といった具合でいつも声を掛けてくれた。

2011年のCLバルセロナ戦

前半はいくつか良いプレイもあったんだけど、ハーフタイムに入るときには、ゲームを支配されているような感覚に覆われていた。

バルセロナは理由もなく、ただぐるぐると走り回っているように見せる術を持っていた。

彼らは中盤で小さなパスを繋いでいて、プレスをかけるべきか、それとも我慢するべきか、どうすべきなのかわからなくさせるんだ。

出典:arsenal.com/

だから正直に言うと、自分がそんなに良いプレイをしているとは思っていなかった。

ゲームが終わって初めて、自分のプレイが良かったことに気が付いた。

キットマンのポール・エイカーズ(Paul Akers)に『シャビ(Xavi Hernández)とイニエスタ(Andrés Iniesta)を食ったな。』って言われたんだ。

僕は『いや、ないない』って返したけど、『マジだって!』って。

彼の言う通り良かったみたいで、その試合で僕はマン・オブ・ザ・マッチを獲得したんだ。

 

自分がどれだけ良いプレイをしたか、人々がそれをどう感じたか、そういうことを試合中に理解するのは難しいことだ。

試合の中でバルサの中盤に打ち勝ったのは、せいぜい数回だったと思う。

『あいつを躱せば、頭を上げてパスを出す時間が稼げるな』とか、『よし、最初のプレスをいなせばイケるな』とかを考えていたのは覚えているよ。

試合後に、ナスリ(Samir Nasri)に言われた言葉も覚えている。

『このレベルを保つんだ。君はこの試合で急成長した。それを毎週毎週の自分のレベルにするんだ。』

誰に言われてもいい言葉だけど、チームメイトや日々の僕を見ている人たちから言われると、それ以上の意味があるよね。

2011年のカーリングカップ ファイナル

若手の選手たちは敗戦で結構、精神的に参ってしまったと思う。

ヴォイチェフ(Wojciech Szczęsny)もそうだった。

彼は決定的なミスをしてしまった。

出典:arsenal.com/

彼(チェズニー)のレギュラーとしての最初のシーズンだったし、誰も彼がレギュラーとしてプレイすることを期待はしていなかったように思う。

そのときの彼は、20歳か21歳だったと思うけど、アーセナルのナンバーワンを掴み取ろうと僕のように大志を抱いていた。

あのとき僕らは本当に何か、特別なものを持っていると感じていた。

チームの雰囲気も素晴らしかったし、勝ち進んでいよいよ、というところで足元をすくわれてしまったんだ。

 

チームの何人かは、それを重く受け止めたと思うよ。かくいう僕もそのひとりだった。

あのショックを乗り越えるのに、数週間はかかったね。

Listen to our Jack Wilshere podcast now!

 

名キットマン、ヴィック・エイカーズ(Vic Akers)の息子のポール・エイカーズ(Paul Akers)もアーセナルに関わっているのは大変興味深い。(Arsenal Reloaded 17/18 アーセン・ヴェンゲル最後の試合

 

サミル・ナスリは、アーセナル退団後は専ら小言を口にしてネガティブなイメージを持っていたが、ウィルシャーに響く言葉を授けていたようで少しばかりホッコリした。

 

とにかく怪我は恐ろしい。

ジャック・ウィルシャーも怪我でかなり苦しんだ。

 

今のアーセナルで将来が楽しみな選手のひとりが、ガブリエル・マルティネリだろう。

FIFA20のポテンシャルは『90』とのことだ。(ベルント・レノ『オバメヤンは嫌い、コラシナツはタンク。』

マルティネリも怪我なく、順調なアーセナルキャリアを築いていって欲しいものだ。

 

ウィルシャーのアーセナルキャリア

怪我に苦しんだ、ジャック・ウィルシャー。

彼についてThe Athleticで特集が組まれたようだ。Reconsidered: just how good was Jack Wilshere against Barcelona in 2011?

mygunner@mygunner98さんの訳で、ウィルシャーのアーセナルキャリアを振り返ろう。

アーセナルのジャック・ウィルシャー

多分、ウィルシャーほど、一つの試合のプレーで語られる選手はいないだろう。

FA杯優勝やBBCのシーズン最優秀ゴール2度獲得、2015年にEURO予選での代表2Gなど他にもハイライトはあるが、皆が覚えているのは19歳でシャビやイニエスタと対等にやり合ったあの日だろう。

ジャック・ウィルシャーのバルセロナ戦

1年前のCLでの同カードでは、バルサは点を取りあぐねつつアーセナルを完全にねじ伏せていた。

アーセナルはバルサのプレスに苦しんだ。

その1年後、堂々としたよく動くテクニカルな若いMFが現れたのだ。

半身でボールを受け、マークされる中ドリブルで中盤をすり抜けていく。

あの日、立ち上がりのウィルシャーはよくなかった。

だが18分、ジュルーからのボールを受けた彼がアーセナルの攻撃の糸口を作り、この動きにスタンドはどよめいた。

以降、ウィルシャーは落ち着いて、プレスされながらも同じようなチャンスを作り続けた。

ウィルシャーはボールを持っている時の位置の把握に長けていた。

敵の位置をチェックしながら、いつかわし、パスを受け、ボールをコントロールし、スペースにパスを出すか分かっていた。

アカデミーで学ぶことだが、世界最高峰の選手達を相手にそれをするところがすごかった。

更に言えば、アーセナルの他のMFは、ファブレガスもソングも本調子ではなかった。

そこにウィルシャーだ。

動きの良さに目を見張るものがあった。前へ走りボールを運ぶ。

バルサに先制されたが、反撃はウィルシャーが引っ張った。

試合が進むにつれバルサがウィルシャーを警戒し始めた。常に彼を囲み3人がかりで潰そうとする。

だがウィルシャーは焦らずに、他のスペースにいるチームメイトに楽しそうにボールを出し続けた。

試合後の彼のパス成功率は93%だった。

後半の2分が見どころだ。メッシをかわしながらジュルーからのボールを受ける。

シャビもイニエスタも、ソングかウォルコットにパスするだろうと予測したが、ウィルシャーはそのままスルスルとドリブルで運んでいった。

ブスケツが止めに来たのを見て、彼をかわすようにファブレガスとワンツー、そのまま左足でシュートした。

バルデスに止められたものの、当時世界最高峰といわれたチームの中盤を19歳が一人で駆け抜けたのである。

2ndレグの試合前、ウィルシャーについて聞かれたグアルディオラは「彼は一流選手だ。アーセナルでも代表でも素晴らしい。」そして「彼のような選手はうちの2軍には沢山いる。アーセナルではタイトルのプレッシャーがないから彼は出場できる。幸運だね。」と続けたのだ。

この7年後の地元紙のインタビューでウィルシャーは、このグアルディオラのコメントについてこう語っている。

「グアルディオラから褒められたのは覚えている。同時にショックも受けた。彼はラ・マシアにジャック・ウィルシャーが山ほどいるって言ったんだ。」

グアルディオラのコメントは8年前には奇妙に思えた。

しかし、当時のバルサの2軍選手のリストを今見返すと、ウィルシャーよりもいい状況にある選手が何人かいる。

アルカンタラ、ラフィーニャ、ドスサントス、オリエル・ロメウ、デウロフェウ。

多分、この試合でウィルシャーはその年のアーセナル最優秀選手と、PFAベストチームに選ばれた。

彼は1年通して安定していたわけではない。

だがこの試合の彼は、恐らく現代サッカー史上最高のチームの世界最高の中盤を相手に、まったく引けをとっていなかった。

Reconsidered: just how good was Jack Wilshere against Barcelona in 2011?

 

 

Arsenal v Barcelona | CL 2011

 

Birmingham v Arsenal | EFL Final 2011

 

おわりに

あのバルセロナ戦で交換したユニフォームを、このロックダウン中に着用したジャック・ウィルシャー。

お似合いだ。

 

 

ひとまず、以上!