【戦術解説】アルテタ・アーセナルの戦術を紐解く

【戦術解説】アルテタ・アーセナルの戦術を紐解く

さて、今日のアーセナルトピックをみなさまと共有したく存じます。

アルテタ・アーセナルになって、なにかは確実に変わったGunners。

それは、試合を見ていても思うし、選手たちもそう応えているから確かなことだろう。(キーラン・ティアニー『中村俊輔は憧れ & アルテタの凄さ』

でも具体的には、どこが変わったのだろうか。

 

アルテタがアーセナルでやったこと

The Coaches Voiceの記事を見ていこう。THE SCOUT COACH WATCH: MIKEL ARTETA

ミケル・アルテタのマネジメントプロフィール

アーセナルがウナイ・エメリをマネジャーの座から降ろした時、次期候補として目を付けたのが元Gunnersキャプテンのミケル・アルテタである。

アルテタは、初の監督業を世界有数のクラブから任されたのである。

アーセナルの素晴らしい歴史の中で、最も成功したマネジャーである、アーセン・ヴェンゲル。

そのヴェンゲルが22年の長期政権に終わりを告げた2018年のときにもアルテタは、監督候補として挙がっていた。

しかし、今となって考えると候補の一番手でなかったことは、様々な意味で幸運だったのかもしれない。

ヴェンゲル、ペップから指導を受けたアルテタ

このスペイン人(アルテタ)は、監督経験こそなかったが、ヴェンゲルという現代において最高のマネジャーの下で5年間、指導を受けている。

さらには、引退後にマンチェスターシティのペップ・グアルディオラの下で3年以上コーチとして働いた経験も持っている。

グアルディオラ自身も経験が浅いうちからバルセロナで指揮を執り、成功を収めてきたというのはミケルにとっても朗報であろう。

出典:bbc.com/
逆境に強い、ミケル・アルテタ

アルテタは、おそらく不遇の状況というものをよく理解しているはずだ。

2011年の夏の移籍市場が閉まる直前にエヴァートンから£10mでアーセナルへと移籍した、アルテタ。

そのときのアーセナルは、セスク・ファブレガスとサミル・ナスリがアーセナルを去った後だった。

それでも、すぐに事態を落ち着かせ、彼は期待以上の活躍を見せた。

『やるべきことは多いが、それをやり遂げる自信はある』とマネジャー就任時に語っている。

『一夜にして実現することはないだろうが、スクワッドには多くのタレントがいて、アカデミーとの素晴らしいパイプラインもあるからね。』

出典:arsenal.com/

アーセナルの課題

アルテタは、脆弱なディフェンスを引き継ぐことになったが、プレミアリーグでもかなり強力な攻撃陣(長きに渡り、不調ではあるが。)に恵まれている。

アルテタ・アーセナルが成功するかどうかは、結束力、アイデンティティー、適切なバランス、さらにはリーダーの育成と多岐に渡る課題を解決する必要がある。

それに彼は新米監督ということもあって、忍耐と時間も与えてあげる必要がある。

それにアーセナル特有のディフェンス面の問題、終了間際の失点ゴールやセットプレイでの失点も未だに課題として残っており、課題は山積みだ。

プレイスタイル

アルテタの影響力を示す兆候は既に複数回に渡って現れており、長期政権が築けそうな雰囲気を醸し出している。

グアルディオラのシティのように、アルテタも対戦相手によって戦術を微調整しているのだ。

4-5-1の布陣で戦った、ボーンマス戦とクリスタルパレス戦を比較してみよう。

まずは、ボーンマス戦のポジショニングから。(【明るいドロー】PL19節 ボーンマス v アーセナル 試合結果

出典:coachesvoice.com/

そしてこちらが、クリスタルパレス戦だ。(【オバメヤン一発レッド】PL22節 クリスタル・パレス v アーセナル 試合結果

それぞれ中盤のベースにダブルピボットとシングルピボットを使い、それをコンバートされた3枚のディフェンスの前に敷いていることが確認できる。

また、左右非対称な4-2-3-1といった形も実験的ではあるが、取り入れているようだ。

グラニト・ジャカの役割

最近まで、エミレーツスタジアムでの将来はないと思われていたグラニト・ジャカは今、ダヴィド・ルイスと並んでディフェンスを形成している。

ジャカがポジションを下げることで、ダヴィド・ルイスの前方にスペースが生まれ、ビルドアップの局面でボールに触れる回数も増えた。

そしてジャカは、相手からのプレッシャーが減ったため、彼の特長であるパスも良いギャップを演出している。

また、それはアーセナルの左からの攻撃を活性化することにも繋がっているようだ。

攻撃のオプション

相手陣内でプレイすることが増えたため、アタッキングの選択肢も増えた。

左アタッカーのピエール・エメリク・オバメヤンやガブリエル・マルティネリは、メスト・エジルやアレクサンドル・ラカゼットをサポートするため、中に侵入するようになった。

サイドの攻撃は、アーセナルでは、ニコラ・ペペやリース・ネルソンが担っている。

彼らは中盤でダブルピボットを形成するために、より深い位置に入るか、インサイドで動くフルバックの前でポジションを取っている。

シェフィールド・ユナイテッド戦(【恵まれない判定】PL23節 アーセナル v シェフィールド・ユナイテッド 試合結果)では、3-3-4を採用しながら、エジルとラカゼットがインサイドのスペースを使ってプレイした。

そして相手の5-3-2の中にいる、3人のミッドフィルダーをサポートしながら攻撃を展開したのだ。※下の画像では、RBのメイトランド・ナイルズが写っていない。

出典:coachesvoice.com/

同様に注目すべきは、カウンタープレスのアプローチが、より一貫しているということ。

高い位置で、プレスをすることを選手たちが心掛けているのである。

まだ完全に浸透していないにしても、メンタリティの向上から生まれた、決意と守備意識の表れだとするならば、今後に期待が持てそうだ。

アルテタ・アーセナルの展望

中盤とフルバックの連動性

アルテタが率いてから、ポジティブな面は見えてきている。

特に、ポゼッションで優位に立っているときだ。

しかしそれだけでなく、ボールを失ったときの対処もコンパクトになり、良くなっているのを知っているだろうか。

よく見られる形が、トレイラがバック3をカバーするというもの。

これが効果的に効いており、トレイラとRBの関係性は今後も注目だ。

出典:coachesvoice.com/

このアーセナルのプレスによる動きがハマった場合、ディフェンダー個人のミスによる影響を最小化できるようになる。

それは、FAカップのリーズ・ユナイテッド戦に表れている。(【怒れるアルテタ】FAカップ 3回戦 アーセナル v リーズ・ユナイテッド 試合結果

不安定なスタートを切ったものの、次第にエナジーとプレッシャーの圧を上げ、相手を疲弊させた。

その結果、多くのゴールチャンスの創造に繋がったのである。

スプリント

アルテタ・アーセナルは、個々のプレイヤーのスプリントによって、グラウンドをカバーしている。

かつてはヴェンゲルの下で見られ、グアルディオラの下でも見られ続けているように、3人目のランも時折見られている。

また、ブレントフォードから連れてきた、GKコーチのイナキ・カナ・パボン(Inaki Cana Pavon)も重要な意味を持つだろう。(【アーセナルスタッフ】チーム・アルテタの発表

ゴールキーパーの組み立て参加

イナキ・カナ・パボンは、バルセロナで選手キャリアをスタートさせたあと、コーチとなって自身のゴールキーパーアカデミーを設立した経歴の持ち主である。

彼に期待されている仕事は、アーセナルのゴールキーパーにフィールドプレイヤーとして後方からの参加を意識付けることだろう。

アイデンティティの再構築

メイトランド・ナイルズ、サカ、マルティネリ、ネルソンといった若手と経験豊富なベテランを融合させようとする姿勢は、かつてのヴェンゲルに似ている。

アーセナルとアルテタの長期的なアプローチはまだ形にはなっていないが、長らく求められてきたアイデンティティを再構築しようとしていること疑いようはない。

 

連動性が鍵となる

先日のインタビューで、ティアニーも言っていた連動性。(キーラン・ティアニー『中村俊輔は憧れ & アルテタの凄さ』

アルテタが指揮を執るようになって、明らかに役割が変わったのがグラニト・ジャカである。(【穴埋め作業員】アーセナルにおける、ジャカの重要な役割

ただ、ディフェンスラインと連動しているのは、ジャカだけではないというのが今回の記事で理解することできた。

 

アルテタもこのリーグ中断期間を使って戦術を落とし込みたいと話していたが、これをチームに浸透させるのは一朝一夕ではいかないだろう。(チームケミストリーの向上に努める、アーセナルのミケル・アルテタ

 

おわりに

中盤にかなりの柔軟性が求められている、今のアーセナル。

地味に、モハメド・エルネニが効きそうにも思う。

出典:arsenal.com/

エルネニの売却は既定路線ではあるものの、まだ具体的な噂は出てきていない。

もし、彼が次のシーズンをアーセナルで過ごすようなことがあれば、アーセナルキャリアで1番の輝きを見せてくれるかもしれない。

 

 

ひとまず、以上!